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徳島地方裁判所 昭和62年(わ)219号 判決 1988年3月16日

主文

被告人を懲役一年六月に処する。

未決勾留日数中一〇〇日を右刑に算入する。

この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、

第一  昭和六二年四月一二日施行の徳島県議会議員一般選挙に際し

一  川内啓市が鳴門選挙区から立候補することを知り、同人の選挙運動を激励するため、いまだ同人の立候補届出のない同年三月下旬ころ、徳島市八万町下福万一二八番地の一〇五所在被告人方において、右川内に対し、ブランデー○・七リットル入り瓶四八本(時価合計五七万六〇〇〇円相当)を交付し

二  同選挙区から立候補した右川内の選挙運動を激励するため、同年四月三日、徳島県鳴門市大麻町板東字東山田一一六番地所在川内啓市選挙事務所において、右川内に対し、清酒一・八リットル入り瓶一〇本(時価合計一万七八〇〇円相当)を交付し

もってそれぞれ選挙運動に関し、飲食物を提供し

第二  浪花峰子と共謀の上、川内啓市が公職選挙法違反(買収)の罪を犯し、逃走中のものであることを知りながら、その逮捕を免れさせるため、同年四月一三日ころから同月一七日ころまでの間、右川内を前記被告人方にひそかに宿泊させ、もって罰金以上の刑に当たる罪を犯した右川内を蔵匿し

第三  同年四月二七日午後九時過ぎころ、徳島市新蔵町一丁目三六番地弁護士森吉徳雄法律事務所において、同弁護士及び被告人が、公職選挙法違反被疑事件で指名手配中の被疑者川内啓市及び同矢野喜之と同席し、右両名が警察へ出頭すべき時期や捜査官に供述すべき内容などについて協議した際、右矢野が逃亡生活に疲れ、直ちに出頭したい意向を示し、さらに時期を待つように求める森吉弁護士らに不満の色をあらわしたところ、被告人において、右矢野に対し、「お前金玉持っておるんか。しゃんとせえ。」などと語気鋭く申し向け、同人に不安困惑の念を生じさせ、もって前記川内の公職選挙法違反被疑事件につき、買収事犯の共犯者として捜査に必要な知識を持つ右矢野に対し、強談威迫の行為をし

たものである。・

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

一  罰条 公職選挙法二四三条一項一号、一三九条(判示第一の一及び二)

刑法六〇条、一〇三条、罰金等臨時措置法三条一項一号(判示第二)

刑法一〇五条の二、罰金等臨時措置法三条一項一号(判示第三)

一  刑種の選択 判示第一の一及び二につき、いずれも禁錮刑。判示第二及び第三につき、いずれも懲役刑。

一  併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

一  未決勾留日数の算入 同法二一条

一  刑の執行猶予 同法二五条一項

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